AYA WEEK 2023
ケアを紡いで

ケアを紡いで

答えのない大切な時間———ありのままを、ともに生きる

27歳でがんを患った看護師のゆずなさん。
これは、彼女から託された、日々の記録。

鈴木ゆずな

鈴木翔太

西川彩花沼里春花野村将和谷口眞知子「地域で共に生きるナノ」の皆さん
監督:大宮浩一企画:鈴木ゆずな制作:片野仁志 大宮浩一撮影:田中圭編集:遠山慎二
整音:石垣哲エンディング曲:「HOME」古見健二配給:東風製作:大宮映像製作所
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INTRODUCTION

イントロダクション

医療現場の最前線で働く彼女が、
スクリーンを通して私たちに伝える
いくつもの葛藤と幸福のかたち

ありのままを記録してもらえれば—そう語る看護師の鈴木ゆずなさん。27歳でステージ4の舌がんの診断を受けた彼女は、仕事を休み、治療を続けています。やりたいことをリストに書き出して、家族や友人を招いて念願の結婚披露パーティーをひらいたり、富士山に登ったり。一方でゆずなさんは日々の気づきを言葉にしていきます。「生きにくさを感じる人は他にもたくさんいますよね」「ネガティブな自分を抑圧せず、素直に受け入れた」「“今、自分は辛いんだな”と否定も肯定もせずただ受け入れる」。本作は、ゆずなさんが夫の翔太さんや友人たち、そしてあらたに出会ったNPO法人「地域で共に生きるナノ」の仲間たちと時を重ね、命と向き合い、日々の暮らしを紡いでいく姿を描くドキュメンタリー映画です。

監督は『ただいま それぞれの居場所』『夜間もやってる保育園』など、現代社会のさまざまなケアの営みと制度のありようを見つめる大宮浩一。撮影を手がけるのは『桜の樹の下』の田中圭。そして、この映画を企画したのは、医療の最前線で看護師として働いていたゆずなさん自身です。ゆずなさんは「AYA世代」。AYAとはAdolescent(思春期) & Young Adult(若年成人)の頭文字で、おおむね15歳から39歳のがん患者のこと。その多くが就学や就職、出産や育児などに直面し、大きな困難を抱えているにもかかわらず、医療費制度と介護保険の谷間で、経済的な支えとなる助成制度がほとんどありません。根治が難しい病状を熟知しているゆずなさんが私たちに伝えようとしたいくつもの葛藤とたしかな幸福のかたちとは?

COMMENTS

コメント

「寄り添う」と言葉でいうのはたやすい。しかし、主人公は、安易な共感の余地を与えず、「若いがん患者」というラベルを張られることを徹底的に拒む。そして、医療者らしく、鋭く問いかける。あなたは問題が見えているか、あなたには何ができるのか、と。

清水千佳子
国立国際医療研究センター病院 がん総合診療センター 副センター長
一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会 理事長

自分の命の限りを伝えられたら、どう生きるだろうか?
支援がない、制度がない、行き場がない、AYA世代だったら?と、
ゆずなさんはたくさんの問いかけをくれた。
そして、いい夫婦だなあ、いい友だちだなあ、いい仲間だなあと、
あたたかい大切なことを笑顔で教えてくれている。

東ちづる俳優/一般社団法人Get in touch代表

当たり前が当たり前ではないと知り、その当たり前を取り戻す事ができた今の私が決して忘れてはいけない事を思い出させくれた映画でした。
私は人は誰しも一人では生きていけないと思っています。
それはどんなハンデがあろうとなかろうと。
必要とする事、頼りたいと思う瞬間、繋がりたいと感じる瞬間、支えたいと思う瞬間、それぞれ形は違えど必ずある。
私だからできる誰かと繋がり、支える行動をしたい。
それがきっとありのままの自分を愛する事に繋がると信じているから。

安本彩花私立恵比寿中学

強くもあり弱くもある私たちはみな、
人を支えたり支えられたりしながら生老病死の一生を歩く。
この作品が〝若い女性の闘病記〟を超えて心に響くのは、
ひとりの中で、まただれかとの間で役割交代しながらケアを紡いでいく尊さ、
役割の対等性を彼女の生きる姿を通じて教えられたから。

寺田和代ライター

“1日24時間”という誰がどう見ても当たり前かつ常識化した数字。
その当たり前に過ぎていく時間をどのように使い、どう受け止めるのか?
そのプランニングはそれぞれで、誰にも奪うことのできない“人生の証明”だと思っています。

矢方美紀声優・タレント

ノーマルな日常が立ち行かなくなったときに発揮される人間の生きる力を、しなやかに見つめつづけてきた大宮浩一監督。そのまなざしのもと、このあまりに痛切で、柔らかく、優しい「生の再発見の記録」は作られた。

三浦哲哉映画研究者

がん患者は、悲劇のヒロインでも、病に打ち勝つヒーローでもない。

わたしは鈴木ゆずなさんと同世代の28歳で乳がんになりました。巷の映画は、がん患者を「悲劇のヒロイン」や「病に打ち勝つヒーロー」のように描くことがしばしばあります。しかし実際は、治療も経過も多種多様。本作は、ゆずなさんの人柄によって、しなやかで誠実に、一人の患者のありのままの姿を映しています。誰もががんになる可能性があり、誰もがケアをする可能性がある。さまざまな立場で、思いを馳せてみてください。

二宮みさきオンラインがん相談サービス CancerWith 運営/AYA世代がん経験者

ドキュメンタリーでありつつ、生と死を描いて虚空の極までのぼりつめている。
それでいて地上に生き続ける人々のありようが素晴らしい。
監督だけでなく、撮影、編集、録音、集合体の力。
ただただ、映っているものが、とてつもなく愛おしい。

瀬々敬久映画監督

ゆずなさんと、かのじょを取り巻く人びとの姿は、「答えのない大切な時間」へのめいっぱいの〈応答〉だったように思う。ケアは紡ぐもの。人と人を紡いでいくもの。ゆずなさんは、ありのままの姿で、そのことを伝えてくれている。

有住航日本基督教団 下落合教会 牧師

人は弱い。ひとりでは絶対に生きていけない。映画を観ると改めて痛切に感じます。
では、自分が弱さに直面していない時、まわりの人の弱さに目線を合わせようとできているか。
自分が弱さに直面した時、ゆずなさんがしたように、それをありのまま受け入れて甘える勇気を持つことができるのか。
それらが交差してケアが紡がれるのだと思うけれど、それって一つ一つがとてもすごいことです。そんなさまざまを実感しました。

星野概念精神科医 など

タイトルが胸に沁みる。
ケアをする側になったり、される側に変わったりしながら、
人は人生を進め、人と関わる。
そうして社会を紡いでいく。
今、がんと共に生きる人がとても増えているから、
がんという言葉は強く伝わり過ぎるきらいがある。
でも、罹患の仕方はひとりひとり違っていて、
ケアの方法も個々別々。
多彩な糸で社会は美しく織られていくのだろう。

山崎ナオコーラ作家

制度の網からこぼれている人たち、これからこぼれてしまう人は沢山いる。大きな病院でケアする側から、小さな輪の中でケアされる側へまわったゆずなさんの体験とそこからの発見は、現状を変えるヒントに満ちている。

寺尾紗穂文筆家・音楽家

同じ時期にがんと向き合っていたゆずなさん。
「ステージ4でも治るとサラッと言う芸能人がいる」
ごめんなさい、恐らく私です。
天に召される人、生き延びる人、その境界線は誰が引くのでしょう。
それでも、ゆずなさんが前を向いて歩み続けることができたのは、ご主人を始め周囲の皆さんの明るいサポート、「ケアの力」だと確信しました。
そして価値ある、かけがえのない記録になりました。
ゆずなさん、あなたはこの作品とともに生き続けるのですね。

笠井信輔悪性リンパ腫ステージ4経験者、アナウンサー

何ができるか、何をなしたかよりも、人は存在しているだけで貴いのだ。生きるとは、どうにかして、互いにそれを確かめ合うことなのかもしれない。誰かを深く愛する。それは悲しみを育むことにほかならない。しかしそれは耐えがたい悲しみを、朽ちることなき愛しみに変じる営みになる。人生の深みを、静かに、だが確かに照らす稀有なる作品だと思った。

若松英輔批評家・随筆家

※順不同/敬称略

STAFF

スタッフ

監督 大宮浩一(おおみや・こういち)
監督

大宮浩一

(おおみや・こういち)

1958年生まれ。映画監督、企画、プロデューサー。2010年、『ただいま それぞれの居場所』を企画・製作・監督。同作は介護保険制度導入から10年を経た介護福祉の実状と自らの理想とする介護を実現するため施設・事業所を立ち上げた若い介護スタッフたちの取り組みを描き、平成22年度文化庁映画賞〈文化記録映画大賞〉を受賞。同年、若い介護スタッフたちが主催したトークライブと彼らの日常を記録した『9月11日』を企画・製作・監督。山形国際ドキュメンタリー映画祭2011〈ニュー・ドックス・ジャパン〉で上映される。11年、東日本大震災で津波の被害を受けた土地の風景とそこで出逢った人々の声を記録した『無常素描』を企画・製作・監督。震災後に制作されたドキュメンタリー映画としてもっとも早く同年6月に劇場公開。山形国際ドキュメンタリー映画祭2011〈ともにある Cinema with Us〉他、ニューヨーク、パリ、ロンドンなど国内外で上映される。12年、介護やケアの現場で人生最期の瞬間に立ち会う介護スタッフたちの葛藤や家族の想いを見つめた『季節、めぐり それぞれの居場所』を企画・製作・監督。第36回山路ふみ子映画賞〈山路ふみ子福祉賞〉を受賞。13年、日本のフラメンコの先駆者であり世界的トップダンサーである長嶺ヤス子の現在を活写した『長嶺ヤス子 裸足のフラメンコ』を企画・製作・監督。14年、ベトナム戦争従軍取材などで知られる報道カメラマンの石川文洋の青年期と現在を描いた『石川文洋を旅する』を企画・製作・監督。SIGNIS JAPAN(カトリックメディア協議会)による〈シグニス平和賞〉を受賞。17年、知られざる夜間保育園の取り組みを描いた『夜間もやってる保育園』を製作・監督。19年、山形県唯一の有人離島である飛島の暮らしを描いた『島にて』を企画・製作・監督。

撮影

田中圭

(たなか・けい)

1987年生まれ。2013年、日本映画学校(現・日本映画大学)卒業。訪問介護や結婚式ビデオの制作をしながらドキュメンタリー映画を制作。初監督作品『桜の樹の下』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2015〈日本プログラム〉で上映、ドイツのニッポン・コネクション2016で〈観客賞〉〈審査員特別賞〉をW受賞、第71回毎日映画コンクール〈ドキュメンタリー映画賞〉を受賞。大宮浩一監督の『夜間もやってる保育園』に監督補として参加し、『島にて』で共同監督を務める。現在、自身の企画・監督作としてドキュメンタリー映画『夢ト女トヒットエンドラン』を製作中。

編集

遠山慎二

(とおやま・しんじ)

1981年生まれ。ドキュメンタリー、教育英会話などの制作、演出、撮影、編集、劇場予告篇の演出を手掛ける。2007年、映像制作者、グラフィックデザイナーによるグループRESTA FILMSの立ち上げに参加。主な編集作品に『URINARA 祖国——母のまなざし、息子の声』(05/河真鮮監督)、『Cu-bop across the border』(18/高橋慎一監督)、『THE FOOLS 愚か者たちの歌』(22/高橋慎一監督)、『二十歳の息子』(22/島田隆一監督)。主な撮影作品に『旅芸人の海』(08/成瀬慧監督)。大宮浩一監督作品では『無常素描』『長嶺ヤス子 裸足のフラメンコ』『石川文洋を旅する』『島にて』で編集を、『9月11日』『夜間もやってる保育園』で撮影を務める。

整音

石垣哲

(いしがき・さとし)

1959年生まれ。株式会社イメージファクトリィ取締役。テレビ、ラジオの音響効果マンとして数々の作品に参加。ラジオの参加作品では、文化庁芸術祭賞、日本民間放送連盟賞、ギャラクシー賞、クリオ賞、ACC賞の受賞歴がある。ゲームやアニメーション作品の音響効果マンも務める。近年は、テーマパークや施設のサウンドデザインチームに参加。2016年、ニッポン放送報道スペシャル『子どもたちの震災~しゃべっていいんだ』で日本放送文化大賞〈ラジオ・グランプリ〉を受賞。2018年、ニッポン放送報道スペシャル『My Dream』で日本民間放送連盟賞〈ラジオ・グランプリ〉、文化庁芸術祭賞〈ラジオ部門ドキュメンタリーの部大賞〉受賞。2022年、ニッポン放送報道スペシャル『あの日の「誓い」から10年・始まった共生社会への挑戦!』で日本民間放送連盟賞〈ラジオ報道部門・優秀〉、放送文化基金賞〈ラジオ番組部門・奨励賞〉、文化庁芸術祭賞〈ラジオ優秀賞〉受賞。大宮浩一監督作品では『ただいま それぞれの居場所』『9月11日』『季節、めぐり それぞれの居場所』『石川文洋を旅する』『夜間もやってる保育園』で音響デザインを、『無常素描』『長嶺ヤス子 裸足のフラメンコ』『島にて』で整音を務める。

TRAILER

予告編

THEATER

上映劇場

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〈自主上映会 開催方法のご案内〉

自主上映会

地域 日時 会場 備考
鹿児島県鹿児島市 2024年3月2日(土)13:30~(13:00開場) 相良病院11階 はくあいホール ❖上映会の詳細はこちら
主催:社会医療法人 博愛会 相良病院
〈お問い合わせ〉
電話|099-222-7716(内線4022)
FAX|099-227-3633
メール|satoyama★sagara.or.jp
※メールは★を@に変えてご送信ください。


   

劇場

地域 劇場名 電話番号 公開日
北海道札幌市 シアターキノ 011-231-9355 上映終了
【キノフライデーシネマにて
1日限定上映】
9月15日(金)のみ
備考:
宮城県仙台市 フォーラム仙台 022-728-7866 上映終了
6月23日(金)~6月29日(木)
備考:
山形県山形市 フォーラム山形 023-632-3220 上映終了
6月23日(金)~6月29日(木)
備考:
福島県福島市 フォーラム福島 024-533-1515 上映終了
10月27日(金)~11月2日(木)
備考:
東京都中野区 ポレポレ東中野 03-3371-0088 上映終了
4月1日(土)〜4月28日(金)
備考:
★ 【4/15(土)~21(金)一週間限定】『ただいま それぞれの居場所』同時上映★

【イベント】
●4/1(土)12:20の回・16:40の回上映後、大宮浩一監督による初日舞台挨拶
●4/2(日)12:20の回上映後、
 西川彩花さん(本作出演者/シーユーシーホスピス 看護師)と大宮浩一監督によるトーク
●4/8(土)14:20の回上映後、
 谷口眞知子さん(本作出演者/NPO法人「地域で共に生きるナノ」代表)によるトーク
●4/9(日)14:20の回上映後、
 上野創さん(朝日新聞社会部/「がんと向き合って」著者)と大宮浩一監督によるトーク
東京都北区 シネマ・チュプキ・タバタ 03-6240-8480 上映終了
5月18日(木)〜5月30日(火)
 *24日(水)休映
備考:
【イベント】
●5月20日(土)12:35の回上映後、大宮浩一監督による舞台挨拶
●5月21日(日)12:35の回上映後、田中圭さん(本作撮影)による舞台挨拶
東京都青梅市 シネマネコ 0428-84-2636 上映終了
10月20日(金)~11月2日(木)
*火曜定休
備考:
神奈川県逗子市 CINEMA AMIGO 046-873-5643 上映終了
8月27日(日)〜9月9日(土)
備考:
神奈川県横浜市 シネマ・ジャック&ベティ 045-243-9800 上映終了
7月15日(土)~7月21日(金)
備考:
群馬県高崎市 シネマテークたかさき 027-325-1744 上映終了
6月16日(金)~6月22日(木)
備考:
愛知県名古屋市 名古屋シネマテーク 052-733-3959 上映終了
4月15日(土)〜4月28日(金)
備考:
【イベント】
●4/16(日)13:50の回上映後、大宮浩一監督による舞台挨拶
石川県金沢市 シネモンド 076-220-5007 上映終了
9月23日(土)~9月29日(金)
備考:
大阪府大阪市 第七藝術劇場 06-6302-2073 上映終了
4月8日(土)〜4月28日(金)
備考:
【イベント】
●4/8(土)12:20の回上映後、大宮浩一監督による初日舞台挨拶
京都府京都市 京都シネマ 075-353-4723 上映終了
4月14日(金)〜5月4日(木祝)
備考:
【イベント】
●4/16(日)9:50の回上映後、大宮浩一監督による舞台挨拶
兵庫県神戸市 元町映画館 078-366-2636 上映終了
5月27日(土)〜6月2日(金)
備考:
広島県広島市 横川シネマ 082-231-1001 上映終了
6月24日(土)〜7月7日(金)
備考:
愛媛県松山市 シネマルナティック 089-933-9240 上映終了
7月15日(土)~ 7月21日(金)
*火曜休館
備考:
福岡県福岡市 KBCシネマ 092-751-4268 上映終了
6月2日(金)~6月8日(木)
備考:
大分県別府市 別府ブルーバード劇場 0977-21-1192 上映終了
4月28日(金)〜5月11日(木)
備考: 【イベント】
●5/4(木・祝)11:00の回上映後、がん当事者の方、上ノ段さん(薬剤師)、岡江さん(ソーシャルワーカー)によるトークセッション
鹿児島県鹿児島市 ガーデンズシネマ 099-222-8746 上映終了
7月8日(土)、7月9日(日)のみ
備考:
沖縄県沖縄市 シアタードーナツ 070-5401-1072 上映終了
5月18日(木)~7月12日(水)
備考: